手指鍼を学ぶ意味 その2

サラリーマンだって企業だって商品だって、生き残るには他と差別化が重要と考えられています。

10年以上前にあるセミナーに泊りがけで参加したことがありました。

部屋に十人ほど集まって自己紹介などのあと、雑談に入りました。

年配の鍼灸師がこうこぼすのです。

隣にある病院が週何回か有名鍼灸師を招き、院内治療を行っていてとても脅威だと。

そこで長野式に目を付けて習いに来たと。

あと偶然ですが我が金成万師の第1回のセミナーに京都から参加した鍼灸師がいました。

私が高麗手指鍼を習っていると話したあと、人がいなくなって近づいてきて「初回に期待して通ったのだが、日本語で何を言っているのか分からず高い金とって」と怒ってましたね。

これは余談でした。

誰も思いっ切って開業しても、多くは日に3人の患者さんぐらいで多くて5人、これが鍼灸専門のところではないでしょうか。

柳谷素霊の最後の弟子と言われた先生が、最初の授業で吐いた言葉が「鍼灸専門でやっていくのは難しい」と言うものでした。

生徒の夢を破るような言葉でした。

でも3年生ともなるとその厳しさは、もう誰も知っていることなんですがね、それにとどめを刺すような言葉でした。

鍼灸専業になるとあんまマッサージを併設していないので、生き残るには相当の技術を備えないとなりません。

鍼灸学校は今や受験資格を取るための施設になっています。

その中で東洋医学の真髄など、カリキュラム内で得ることは不可能です。

したがって卒後にどのような師を選ぶか、セミナーに参加しそこから弟子入りする、伝手をたどって弟子入りするなど、皆さんは苦労し努力されて行くのです。

高麗手指鍼は手のひらで治療を行うと言うのが、商売で言えば「ウリ・売り」でした。

しかし手に刺す鍼は伝統的な鍼に比べ痛いので、普及はいまだしていません。

実はそれが大きな問題ではないことは、あとの方でお話いたしましょう。

日本には鍼灸の資格取得者は、10万人ぐらいいるのではないでしょうか。

そのほか医療類似行為と呼ばれる中に、整骨院やあんまマッサージがあります。

資格としてはないが、カイロプラクティック、整体、気功、温熱器具や独自のハーブを使った治療、等々探せば枚挙にいとまがありません。

おびただしいライバルがひしめく中、生き残りを図るには並大抵のことではできません。

定年後の仕事にしようとノホホンと入学した私でしたが、入った東洋鍼灸専門学校は伝統校であることも入ってから知ったという具合でした。

柳谷素霊が創立したこの学校では、生徒が目的意識をもって在学中から実技習得に熱心だったようです。

卒業生は引く手あまたで「昔は卒業直ぐに使える生徒が多かった」と聞いたことがありました。

と言うことは今はと言う言葉が裏にあるわけです。

そのような実績のある学校でさえ、一クラスで開業できるのは一人と言われ続けていました。

ついでに優等賞を取った生徒は一人もできない、と言うのが都市伝説のように語り続けられていたようです。

入学して一気に夢がしぼんでしまう現実を知るのです。

私が書いてきた「弟子入り」をすれば、伝統的な鍼灸でも十分な魅力を持ち、患者さんがあちらからくる治療家を知っています。

何度も言いますが気を学び、弟子入りした師の治す気を頂くことで、押しも押されもしない鍼灸師が出来上がるのです。

しかしそのような手段が選べないとき、やはり何か特徴がある技術に目が行ってしまいます。

私が高麗手指鍼に興味を抱いたのは、生徒の時からセミナー案内の切り取りの中にあったからです。

そこに前年に金先生とのセミナーに参加していた同級生の勧めが、参加にためらう私の後押しをしてくれたからです。

生徒の内からセミナー参加し、あれこれと鍼灸技術を読んだりしている中で、既存の鍼灸では限界があることを知ったのです。

ケースワーカーをしていると、精神疾患を患っている方や、様々な難病に苦しむ人を見ているわけです。

現代医学では救えない治療ができない、そのような病気にも鍼で何とかできないかと、今考えると浅知恵でしたが考えていました。

そのようななかでこの限界を突破できるのがこの鍼ではないかと考えてのことでした。

実際金成万師もこれは精神疾患も治せるし、現に師はがん患者も治療していたので、私もこの鍼にかけようという気になったのです。

ただその後無我夢中で治療をしていく中で、限界を越していくには無理があると分かりました。

韓国では制度上の制約もあり、この鍼を行っているのが素人です。

現実には今は取り締まりが厳しいので、資格を取得し手指鍼に興味をもった人だけが行っているはずです。

しかし10年前はそのような先生がいらっしゃいましたが、昨年参加した大会ではそのような方は皆無でした。

金先生も無資格で行っている中で取り締まられそうになり、招かれて日本に移住したという経緯がありました。

資格を持って高麗手指鍼を業としている方は、ほんの数えるほどなのでしょう。

だから簡単に学び習得できると考えるのは、大きな間違いがあるのです。

素人がやるものをプロはやらないのです。

素人ができるものにお金は払わないでしょう。

高麗手指鍼は相当秘めた力があるはずと私は考えていましたが、そこまでの研究は金成万師を除いては行っていませんでした。

先生が無くなる前に個人でお話した時に、先生の研究の中身を話してくれました。

衝撃的でした。

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