開業とセミナーの関係について

鍼灸を学ぶ最終目標は開業ということでしょう。鍼灸学校に入り資格を取得すれば、やがては開業できる。と殆どの生徒は思って入学してくると思います。

 

私などは定年後のセカンドキャリアにと、軽い気持ちで入学しまた。ところがどの先生方も面白半分でしょうか「将来開業を考える方」とか言って手を上げさせ、私も同じようにしてしまった記憶があります。

 

半年もするとそれは夢に近いことを理解します。30年以上前でさえ開業できるのは30人のクラスで1人、今だと100人に1人程度が現実であると知るのです。

 

高いお金を払って時間を費やして資格まで取ったら、開業したいですよね。でも人間の体に触り病気を治す、簡単な仕事ではありません。それも60分前後の治療時間内に、何らかの成果を出さなければなりません。3年間学んで資格を取ったら、腰痛肩こりドントコイとならないのがこの世界です。

 

じゃあどうしたら良いのかとなりますね。

 

開業には昔から王道と言われているものがあります。しかし私は開業とこの王道は区別して考えたいのです。王道イコール開業ではない。王道をいくつもはしごして開業に踏み切れない方がいることをみても、このことは納得されるのではないでしょうか。

 

ではその王道について考えてみましょう。

  1. 3年間患者が来なくても困らない資金繰り。(殆どは不可能です、貯金できません。これだけ万全に準備したが、治療技術が追いつかないで、閉店に至った例を知っています)
  2. 弟子入りこれが最も知られている王道でしょう。(自分がどのような治療を目指しているのか、それに合った治療家はいるのか、その先生にコネクションはあるのか 難問山積です。しかし弟子入り終了後には、治療について自信が得られます。開業の自信はつくでしょう。)
  3. 10年ぐらいはマッサージを行い、その間に弟子入りの道を探る(鍼灸資格だけなのでマッサージは「整体」の看板で行い、弟子入りの道を探る方も多いのではないでしょうか。しかし鍼灸に切り替えようという時に、マッサージの患者の減少などリスクが潜んでいます)
  4. 鍼灸院や鍼灸を行っている整骨院に勤め、患者さんにフアンを作った後、暖簾分けみたいに開業をして患者さんを分けてもらう。

これらがもっともオーソドックスな開業への道標でしょう。

 

開業となるとまた一段ステージが上がります。一国一城の主になりたい、自分が研鑽してきた技術を試したい、家族にもっと楽をさせたい、この世界で名を上げたい などなど頭を駆け巡るのではないでしょうか。

 

その夢の前に開業リスクが立ちはだかります。果たして患者さんは来てくれるのか、家賃を払えるのか、いきなり難しい患者が来て治せなかったらどうしよう、評判を落としたらどうしよう、借金を抱えたらどうする、今と比べて収入激減となったらやっていけるのか、次つぎに不安要素ばかりが浮かびます。

 

人間誰しも楽で安全な方を選びますよね。技術があり多くの患者のファンを抱えていて、それで大手の治療院に勤務して独立しない方、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

つまり「開業」と言うのは、その向こうにある「大きなリスク」を乗り越える勇気なのだ、こう私は考えるのです。

 

学生時代夜間でしたので生徒の年齢は高かったので、高齢の先生がアドバイスくれました。「君たちは年齢が行っているので、卒業したらすぐ開業しなさい」真に受けたら酷い目似合いましたけど。

 

私の場合ですか?無謀の一言ですね。「よく踏み切れましたね」と言われるのですが、治療をしてみたい今の仕事から離れたい、その一方親への反発心から、突き進んでしまったということです。大きなエネルギーがないと、開業の壁は乗り越えられません。

 

さて「セミナー」や「講座」については、もちろん開業とは無関係です。重要なのは開業後に来られた患者さんを、どのように治療し完治させ、それが口コミに結びつくかということには大いに関係します。

 

セミナーで得た知識を活かして行けばきっと成功する、開業後の不安を極力少なくする、そのような自信を持てるようにすること、それが「セミナー」が負わされている責任であると思います。

 

でも殆どのセミナーが理論や技術の一端を学んで、それで終了となっているのではないでしょうか。私が受講した中には、開業への力になるようなものはありませんでした。

 

募集要項に「開業に責任を負います」なんて、一言も書けないでしょうね。もし書いてあったら経営指導も行ってもらえるかもしれませんね。

 

私が参加した講座では開業なんて謳っていませんでした。治療理論か技術方法の講義だけでした。でも講義終了後の生徒の行く末を追跡調査したことないはずで、結局わからないままです。

 

セミナーオタクとかを見たことがあります。開業は憧れでも決断ができない、今の職業を辞めて飛び込む勇気が起きない、ジレンマを抱えてセミナーをはしごしてしまうのでしょうか。

 

ところがある文章講座で知ったのですが、本格的な鍼灸セミナーを開く前に、試験的に少人数で教えたら5人が5人全員開業して、講師が驚いたと言う文章を読みました。講師側が開業できますこの講座を受講すればとは、決して言ってなかったにも関わらずです。

 

推測するには少人数であったのと、講師が初めてであったので恐らく「気」が入っていて、その気を生徒が受け取ったことがあったのでしょう。中国針と一般的ではないことも、生徒は差別化出来ると考えたかも知れません。でも全員が開業をしたというのは、そのような方たちが講義を受けて、決断がついたということなのでしょう。

 

では開業を決断させるような講義とはどのようなものなのか、私の考えている講座内容は次のようなものです。

 

  1. 鍼灸治療は治療家の治せる気がなければなりません。その気を学べることが第一になります。
  2. 治せる理論、これは伝統的な鍼灸でも同じですから、腰痛肩こり治療には違いがあるわけではありません。ただ次の段階の心臓疾患 肺疾患 免疫疾患(リウマチ がん そのほかの免疫病)、脳神経疾患(脳卒中 パーキンソン病など)、ディメンション治療と私は名付けましたが、それを対象にするには新たな理論、治療技術を学ぶ必要があります。
  3. 誰でも同じと思いますが、開業して最初の頃は軽い症状の患者さんが見えるものです。それに甘んじていると突然、どう対処してよいかわからない重症患者さんが来ます。不思議なのですがその時にあわてないだけの、応用力を備えられ力をつけられること。それを乗り越えれば、次の大仕事でも迷うことはなくなります。
  4. 受講中でも生徒間の交流を測り、各段階での問題悩みを交わすことで、次のステップに進めるようにいたします。分からない難しいということを、生徒が口に出さないような内容にするつもりでいます。そうなれば全員が開業準備段階に入ることが出来ます。
  5. ディメンション治療Ⅱ、Ⅲに属するような疾患では、「はい、脈が整いましたから効果が出ました」というようなことではなく、治療者患者が共通の土俵で治療の成果を実感できる、そのような「つぼの力価(他に言葉がなかったので援用)」を確認できます。
  6. 進化論を知り学び、それを取り入れたディメンション治療をすることで、自然治癒力などという言葉はすでにどこかにぶっ飛んでいきました。人間の進化とともに獲得してきたメカニズム、それを刺激することで免疫も治癒速度も、このように変化していくのだと、鍼治療の面白さを感じることが出来るようになります。

 

開業するか否かは個人の決断力にかかってきます。集客力も個人の努力でしょう。しかし大学教授から教えていただいた言葉ですが「世間に有用な技術だったら、社会は放って置かないよ」というように、しっかりとした治せる技術を使っていけば、必ず見つけてくれるはずです。

 

いまはネット社会で自ら発信する手段もあるので、そう心配することはないはずです。

 

以上が講座と開業に対する私の考えをまとめてみました。

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