鍼の本数について

「手のひら先生高麗手指鍼講座」開設前に、その内容や考え方を理解していただくためのブログです。

鍼は何本刺せばよいか。

50本、100本、1000本どのくらい刺せばよいのでしょうか?

学生時代に教わったのは、多く刺すと体が酸性になるからと、限度を超えた多鍼は戒められました。

鍼灸の雑誌にある鍼灸師のエッセイが載りました。

彼は苦労して鍼灸師の資格を取得したそうです。

しかし弟子入りをしたこともなく、卒業したからといって鍼治療をすぐできるわけではありません。

脈を診たり、望聞問切の診断をしたり、さまざまな経験もなかったので困ったようです。

しかし刺鍼技術は痛みを起こすことなく出来たので自信があったそうです。

そこで体にある凝りはすべて取ってやろうと、100本近くだったのでしょうか、何しろ多鍼を行ったそうです。

患者さんは「たくさん刺されたが全く痛くなくて身体も楽になった」と感謝してくれました。

このことが評判になって思わぬほど患者さんが増えたそうです。

嬉しくなってこのことをまとめて鍼灸雑誌に寄稿した。

すると様々なところから批判が寄せられた。

上記のようなことが鍼灸の常識になっているので、その多くは多鍼についての批判でした。

先達はなるべく本数を減らすよう努力を重ねてきたのです。

それがとんでもない者がでて来たというわけです。

そのことと立ち退きがあり患者さんには知らせず移転していたのだが、探し当ててきてくれてまた繁盛しだした。

そこで今までの顛末を数年ぶりに寄稿したというわけです。

確かにこの方だけでなく、一時謎の治療家として芸能界を騒がせた方も、多鍼をしていたようです。

そのほかにもいらっしゃって、患者さんから支持されている方法でもあるようです。

さて凝りをほぐす目的なら、この方法でも良いでしょう。

では鍼灸が病気を治すのに気の治療を行う物であるとするならば、鍼の必要最低限の本数はどのくらいなのでしょうか。

金成万師はセミナー最初にこう仰っていました。

自分が習い始めのころは毎日500本、1000本も打って練習していたと言っていました。

大げさに言って奮起を促したのでしょう。

がん患者にはかなりの本数を打つとも言っていました。

しかしその後がん患者の治療を見たことがありましたが、それほど多くは打っていませんでした。

逆に「えっ!」と驚くほど少なかった記憶があります。

驚くほど鍼を刺すのは練習の時だっただけなのでしょう。

セミナーで「ワシが癌を治せるのは、気を一本一本込めて打つからだ」と言ってましたので、それほど本数は必要がなかったのです。

一本で鍼治療を行う名人の方がいらっしゃいます。

思うにこのような治療は治療家の気のパワーが相当ないとできません。

その他の治療家の場合も鍼の本数は多くても、そこから術者の気を送りこむことは変わはありません。

一方患者の持つ気のレベルもあると考えます。

病気を治すためには一定レベルの気を、集中して振り向ける必要があります。

そのために経絡は3本までの調整と決められています。

それも根拠のあることです。

4経も5経も調整を行えば、気が分散して弱い調整力になってしまうので、昔からこう戒められているのでしょう。

では各ツボに刺す本数はどのくらいが必要なのか?

例えばこのようなことがあります。

捻挫や肉離れの患者さんの治療を始めるときは、異常反応が大きく広がっています。

この場合は体の患部のことです。

それをおよそ2時間かけて治していくのですが、最終的には患部が1センチ四方程度の点に納まります。

そこが最重要なところになります。

同じようなことが高麗手指鍼で坐骨神経痛治療にも起きます。

患部と思える腰のところに数本鍼を刺していると、「ギャー」と言うような声を患者さんが上げることがあります。

これが最重要な問題個所だなと思います。

最初からこの一点を探し当てられたなら、他の鍼は必要ないのかもしれませんが、まあ未熟なので鍼は多くなるきらいがあります。

自律神経の補寫、心臓の各部屋のパワーバランスを調整するときの本数、経験上からこれらのツボの1箇所に、調整する最大の本数は2本です。

診断からそれ以上の必要はありませんでした。

身体の部分に対応するところに鍼を刺すことを、高麗手指鍼では相応療法としています。

この場合はたして何本が適正なのかと言うことになります。

上記で述べたことなどから言えば、理想は一本で良いはずです。

しかし限られた時間内で的確なツボ探索をする困難さがあること、初期の反応点は広がっていることなどを考えると、ある程度の許容度を考えても良いでしょう。

その許容度はどの程度でしょうか。

例えば金成万師が仰ったのは「2ミリツボを外すと効かない」と言うものでした。

身体に刺す鍼は2センチ外してはいけないということと同じです。

例えば膵臓は頭部 体部 尾部 とそのホルモンの分泌が異なります。

するとそこに体対応するツボも微妙にずれが生じます。

つまり1ミリ間隔でツボが並ぶことになります。

腎臓なども腎皮質と腎髄質では、同じくツボの位置は1ミリ離れます。

本来はこのようにツボの位置は厳密なのです。

それではどの程度が多鍼として許容されるのでしょうか。

もし正しい患部の中心が一点あったと仮定し、2ミリの許容度をいれて、上に2ミリ下に2ミリ計4ミリの幅があります。

先ほど述べた膵臓のツボから考えると、ツボの間隔は1ミリです。

上下4ミリの許容度を考えた幅に1ミリづつ刺していくと5本になります。

1本のツボにもし適正な陰陽を測れるとししても、最大2本までと私は考えるので、10本が限度になります。

しかし現実にはツボの陰陽を1ミリごとに計測し、鍼を刺していくことは無理になります。

結論として、4ミリの直線上には最大5本ということになります。

それも自分のツボの位置診断の誤りを入れてのことなので、経験ある鍼灸師ならもっとピンポイントになり本数も少なくなる、それが私が考える多鍼の定義になるでしょうか。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ