弟子入りについて その2

自在に気を操るのが鍼灸師です。

自分が意識するしないにかかわらずです。

意識しないで?と思われるでしょうが、経験が深いと治療の気は本人の意識にかかわらず出るものなのです。

戦後の鍼灸にかかわる方たちの体験談を読むと、一所懸命仕事に励んでいたことでこのような力を備えていたことを伺わせます。

中には決して気功の修業を積んでいなかっただろうに、守護霊背後霊やオーラを見ていた方がいました。

と言うわけで気のつくり方はそれぞれ千差万別、これをしたら良いというのはないのです。

しかし今の情報化社会では、自分の求めるところをしっかり見極めれば、気を手に入れることはそう難しいことではありません。

今の学校の生徒は授業料を払えば手に入る、何でも手に入ると考えているのでしょう。

学校はあくまでも資格取得までの道を開いてくれる、そのような役目しかありません。

勝負は資格取得してからなのです。

とはいえそこまでの準備は怠っては、社会に出てからは道なき道なので、そこに踏み出すのは至難の業です。

高卒から専門学校と進んで来たら21歳前後の年齢でしょう。

病院勤めが手っとり早い就職の道になるでしょう。

しかしこの道を選択すると、スポーツ障害や運動器疾患までの分野であれば、開業も目途が立つかもしれません。

しかし多くの鍼灸師が目指す病気を芯から治す、そのような開業鍼灸師には残念ながら道が閉ざされてしまうのです。

そのような例をご紹介いたしましょう。

昔故山下詢先生のセミナーに参加していました。

2年のセミナー終了間近依頼して手作り鍼のメーカーの社長に、「開業講座」をお願いしました。

多くは母校の同級生でしたが、一人そのセミナーで出会った方を招待しました。

しかしこれが失敗でした。

社長がこれから開業するにあたって、様々な注意や仕入れの際のコツそして地方についての特色など、我々の知らないことを説明してくれました。

それらにいちいち口を挟んで場の雰囲気を壊すのでした。

あとから考えると彼は病院勤めの鍼灸師で、開業を望んでいるのだが中々果たせず、これから開業しようとする我々に苛立っていたのだと分かりました。

病院の看板で患者が来るので、治す治さないはあまり関係ない仕事になってしまう。

こう学校で先生方は仰っていました。

月給制であり安定した職場であっても、1時間以内に何らかの結果を出す、そのような日々の緊張は無いはずです。

結果を出せる自信がなければ開業できません。

口コミなんてしてくれません。

家族を持ったりしたら、それこそ独立開業は難しくなってしまうのです。

では休日を見計らって弟子入りを考えても、自らの休日は先生も休日です。

そこで少しでもレベルアップをと、セミナーに参加するのですが、セミナーでは開業する程のレベルに達することは難しいというのが私の感想です。

そこに上記の彼の苛立ちもあったのでしょう。

またこのようなことも学校では習いました。

病院では医師を頂上にヒエラルキーが形成され、薬剤師看護師臨床検査技師等々あり、最下層に鍼灸師マッサージ師がいるのだと。

そして不況になれば真っ先に切られるのも、ここからだよと言われてました。

それが本当だったのはNHKクローッズアップ現代だかで、タクシー業界の規制緩和の特集があった時でした。

運転手の前職を尋ねると「病院勤務の鍼灸師でした」同姓だったので思わず見入ってしまいました。

先生のお話通りだったので、それも驚かされてしまいました。

ほかの道開業はやはり難しかったのでしょう。

病院内の治療については医師の指示で行うので、勝手なことを実験的に行うことなどできません。

日々の中で腕を上げていくことは至難でしょう。

送られてくる患者も腰痛肩こり以外、診たいと思うような症例は来ないはずです。

では鍼灸師のところに就職をと考えても、そのようなところはほとんどないでしょう。

ほとんどがやっと食べられる状態であり、従業員を雇うところは探す方が難しいのではないでしょうか。

実は開業院に就職すると、自分の開業はもっと難しくなると言うことご存知でしたか?

世間の常識と矛盾しますが。

それと鍼灸師を募集している鍼灸専門院は、ほとんどありません。

あったとするとチェーン店だったりします。

鍼灸師募集のほとんどが整骨院か個人の整形外科です。

これらでは日々の仕事で過ぎて行ってしまうでしょうね。

仕事の量が多いのと学ぶことができないので次々と辞めて、毎月のように募集が掛かるらしいのです。

ここに問題がよこたわっているのです。

病院での実技研修は教授の手術を手伝い見学し、最期にまとまって講義があるように思います。

外科手術は切除し縫合すれば、それで終了です。

それをうまく学べばいいのです。

内科は診断技術を学んだりすることがあるようですが、それも気と言うようなものを習得するのとは異なります。

鍼灸の患者を見るときは個々の診断をするので、大量の弟子を一所に教育するのは難しいのです。

患者の脈を先生が診たら弟子が今度は診て、それを先生が「どう診断した?」「腎虚症です、肝実症でした」とか答えます。

すると先生が「これは腎虚で治療しよう」とか正解を言ってくれるようなのです。

私は弟子入りしたことが無いので、実際の現場は体験したことがありません。

ビデオで見たり話を聞いたりして、そのようなことが行われていると知ったのです。

なぜ弟子入りしなかったかですか?

それについてはまたの機会を設けてお話いたしましょう。

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